当団体は、日本のインクルーシブセーリングの先駆者
西井伸嘉氏の遺志と事業を受け継ぎ立ち上げた会社です。
私は、一般社団法人ハンザセイリングジャパン代表の強力修(ごうりき おさむ)と申します。
家業は大正7年(1918年)創業の三重県伊勢市にある造船所です。目の前に港の在る私は自然とヨットに触れて育ちました。
当団体は、今から約20年前に西井伸嘉氏が日本で設立されたNPO法人セイラビリティジャパンの精神と事業を継承した会社です。
西井氏は、オーストラリアのハンザの設計者でもあり、“セイリング・フォー・エブリワン※”の提唱者でもあるChris Michel(クリス・ミッチェル)氏のスローガンを日本に広めた先駆者です。
これまでに国内で50団体に300艇を販売し、日本でのハンザ艇の普及に多大なる貢献をされてきました。現在ハンザ艇は世界で3,300艇販売されており、 特にハンザ303はパラリンピックの競技艇にも指定されるなどして近年目覚ましい拡がりをみせています。
ハンザとの衝撃的な出会いからNPO活動を開始し、西井氏から想いの詰まったバトンを受けとった私にできることは一つ。日本にインクルーシブセーリングの楽しさを広めることのみです。
是非、個人の皆様だけでなく、企業・自治体・団体の皆様にもインクルーシブセーリングを体験していただきたいと考えています。
※①セイリング・フォー・エブリワン(Sailing for Everyone):年齢や障がいの有無に関係なく、誰もが楽しめるインクルーシブセーリングを表現する言葉
強力修(三重県伊勢市大湊にて)
| 1950年 | 伊勢市大湊町で誕生 |
| 1969年 | 県立伊勢高等学校卒業 |
| 1973年 | 東海大学海洋学部船舶工学科卒業 |
| 静岡県清水市(株)金指造船所入社 | |
| 1976年 | (株)強力造船所(現㈱ゴーリキ)入社 |
| 1991年 | (株)強力造船所 代表取締役社長就任 |
| 1997年 | (株)ゴーリキ 代表取締役社長就任 |
| 2002年 | セイラビリティ伊勢設立 会長就任(障がい者と健常者のヨット活動) |
| 2012年 | NPOセイラビリティ三重設立 会長就任 |
| 日本ハンザクラス協会(セイラビリティ全国組織) 理事就任 | |
| 2016年 | (株)ゴーリキ 代表取締役会長就任 |
| ビキニ島で水爆被害の第五福竜丸の講演活動開始(以降毎年5~7回) | |
| 2019年 | (一社)ハンザ・セイリング・ジャパン設立 代表就任 |
| 2021年 |
三重とこわか国体の障がい者ヨット競技の大会委員長就任(大会はコロナ禍で中止) |
| 2025年 | 勲六等旭日単光章受章 |
私がハンザと出会ったのは2002年の夏でした。
ある日、ALSの病気で車イスに乗っていた青年と伊勢の工業高校でヨット部の顧問をされていた景山先生(現ハンザ・セイリング・ジャパン テクニカルマネージャー)が、私の会社に来られました。
「この青年にヨットの乗り方を教えて一人で自由に大海原を駆け巡らせてあげたいので、是非協力して欲しい」
という申し出を受け、お断りしてしまったのです。
私は学生時代に少しディンギーに乗った経験があったので、車イスの青年にはとても難しく、また危険であり、そんな暴挙には協力できないと判断しました。
しかし、それから暫くして先生と青年が大阪北港ヨットハーバーでセーラビリティ大阪の活動を見学し、セイラビリティ(Sailability)という活動のがあるという報告を受けました。
衝撃的な写真を見せられました。
その写真には、障害のある人たちだけでなく、小さな子供から老人までもが一緒に楽しんでいる様子が写っており、自分の認識不足を知らされるとともに、新しい形のヨットセーリングの可能性を見た思いでした。
その感動から、すぐに行動に移しました。幸い、私には目の前にハーバーがありました。その年の12月にセーラビリティ大阪の方に協力いただき、「セーラビリティ伊勢」を、二人の車イス青年を含めた数人で立ち上げました。
最初のヨットは無償で払い下げてもらったOP(オプティミスト)という木製の子供向け小型ヨットを景山先生先生自らが改造をしてくれました。
その後、当時はアクセスディンギーと呼ばれていた2.3m艇を1艇購入して活動を進めました。続けて津ヨットハーバー、マリーナ河芸でもセーラビリティ団体が立ち上がり、三重県は今ではセイラビリティ活動の一大拠点へと成長しました。
52歳の2002年に出会ったハンザは、私の生き方までも変えてしまうほどのインパクトがありました。
私は造船会社の子供として育ちましたが、特に小さい時からにヨットに親しんできたわけでもなく、大学時代に体裁の良い船遊び感覚で小型のディンギーに乗っていたに過ぎませんでした。
誰もが持っているヨットについてのイメージは、先ずは危険である、そしてお金がかかるということです。
しかし、私たちが始めたセイラビリティ活動で使用するハンザ艇は、開発者であるオーストラリア人のクリス・ミッチェル氏の卓越した設計思想により、一見相反するファクターと思われる安定性と操作の容易性を見事に両立させていました。
1秒を争う熾烈なハンザレースで体感した"Sailing for Everyone(S4E)"の本質。
それにも増して私が受けたインパクトの一番の要素は、クリス・ミッチェル氏の哲学ともいえるSailing for Everyone(S4E)の精神です。
1秒を争う熾烈なハンザレースにおいても、障がい者と健常者を分けずに同じシチュエイションで真剣勝負するスポーツは、他に類を見ない喜びと満足をもたらすものと思っています。
私はこれが真のバリアフリーであり、インクルージョンの極みであると考えています。
